もろず blog

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無名AIベンチャーに転職するという生存戦略

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さて、ものすごく久しぶりの記事で、気づけば 2017年一発目の記事です
私事なのですが、約1年前に某大手SIerからAIベンチャーNextremer に転職しました

その後知り合いから転職について聞かれることが多かったので、
なぜ大手SIerから当時ほぼ無名のAIベンチャーに転職したのかという考えを書きます

ベンチャーへ転職しました系の退職エントリーは世に溢れてますが、同じような境遇にいる方の何かしら参考になれば幸いです


この記事では
1. ざっくりとした経歴
2. なぜ転職を決意したのか
3. なぜベンチャーへ転職したのか
4. なぜ Nextremer を選んだのか
5. まとめ

について書きます


1. ざっくりとした経歴

大した経歴はないごくごく普通のエンジニアですが、ざっくりと経歴を書いておきます

新卒で前職の某大手SIerに入社し約6年間勤務しました
会社規模はそれなりに大きくて、従業員数は数千人、売上高も業界では上位の会社でした

世間 (主にネット上) で噂されているような、ブラックな労働環境や下請け丸投げみたいな状況は全くなく、とても健全な会社でした

前職ではシステムエンジニアとして、リテール業界や BtoC のビジネスをしている企業向けに Web やスマホアプリを使ったシステムの開発を行っていました
※新人の頃は Excelスクショエビデンス職人として活躍したこともあります・・・!

そして昨年、当時社員数20名、設立3年半の Nextremer へ転職しました
現在は機械学習自然言語処理を利用したアプリケーションの開発に携わっています

社会人8年目です


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2. なぜ転職を決意したのか

前職ではいろいろなプロジェクトを経験させてもらい本当にたくさんのことを学びました
入社してから4年くらい一緒に仕事をした上司はめちゃくちゃエネルギーに満ち溢れていた人で、その上司のおかげでものすごいスピート感の中仕事をしていました

キツい場面も多かったですけど、常に成長を実感できましたし充実してました
この経験が僕のエンジニアとしての基礎とマインドをつくったのは間違いありません

しかし、その尊敬する上司が転職していったり、
信頼関係を築いてきたチームが解体されていったり、
いろいろとショックな出来事が起こる中で周りの状況も変わり、だんだんと転職を考えるようになりました

SIer のビジネス構造

僕の狭い視野と低い目線から見た限り、SIer でやっていることの大半は過去の成功体験と同様の問題に対してそれを適用することです
そうすると SIer での主な関心の対象は、いかに経験則を再現する手間やリスクを減らして適用先を増やしていくかということになります

IPA の資料に SIer がどういうビジネスをしているかが詳しく説明されています
こう見ると、日本は SIer やそのエコシステム周辺にいるエンジニアが圧倒的に多数派なことがわかります
なので、僕も含めて恐らく日本のエンジニアにはそのバイアスがかかっていると想像できます

ともかくエンジニアとしては、既存手法の再現を繰り返すのはテンションの上がる仕事ではありません

大規模組織の保守的な空気

簡単に言うと、大企業病イノベーションのジレンマ、のような状況でした
その環境では失敗する可能性のあるリスクを取った判断が受け入れられることはないように感じました

更には、8割くらいの人たちは何の思いもなく流れ作業のように仕事をしています
実際のところこれはなかなか耐えられなかったです

いつからか、このままこの環境で仕事をし続けたら感覚が麻痺して抜けられなくなってしまう、という危機感を覚えるようになりました

どういう人材に価値があるか

会社を引っ張っていくようなエース級の活躍している人たちも周りにいました

出世している人たちにどういう凄さがあるかというのを考えてみると、

  • 社内ハックに長けている (社内政治)
  • 圧倒的な防御率 (失敗をしない、ように見える)
  • めちゃくちゃ体力がある (鉄人)

という共通点がその人たちにはありました

生き残るため、少なくとも給料を上げようとすれば、そういう人材になることを目指していく必要があります
このようなスキルはビジネスで重要なのもよく分かります

でも、正直言って「テクノロジーの企業じゃなくね・・・?」と思ってしまいました
圧倒的な技術を持っている人もいましたが、明らかにそれは少数派でした

その環境で生き残るのであれば、ある意味エンジニアとしてのキャリアは諦めるしかないような気さえしました

転職を決意するまで

転職を決意するまでいろいろなことを考えました

自分の成長のためには、先頭に立って問題を解決する経験をもっとたくさん積む必要があります

特にまだまだ経験が浅いですし今はまだ修行の時期で、
体力と勢いのあるいまの時期に失敗と成功の経験をたくさん積み重ねないと、
もっと歳をとってしまってからでは遅いんじゃないかと思いました

しかし、保守的で年功序列な体質の組織にいても、ただただ時間と体力を消耗してしまうような気がしました
そっちの方が圧倒的に大きなリスクじゃない?と

そしてやっぱり僕はもっと "本当の" ソフトウェア開発の仕事がしてみたかったです

そうして徐々に考えが固まってきて、最終的には転職することを決意しました


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3. なぜベンチャーへ転職したのか

転職先としてベンチャーを選んだのは、ただただベンチャーに行ってみたいという興味もあったんですが、
事業や組織が固まり切る前の名の知れないベンチャーに行くしか急成長する道はない! という極端な結論になったからです

自分の市場価値を考える

そもそも、いくら自分がベンチャーに行きたくても、自分を採用してもらえるかどうかは別の問題です

採用する側の視点で自分を見たらどういう人材に映るんだろう?と考えてみました
大手SIer出身のたいして突出した技術があるわけでもないエンジニア、というのが明らかな事実で、外からそう見えるのは間違いなかったです

そんな僕が、イケてる・ノッてるベンチャーに運良く入れたとして、恐らくそこで期待される仕事は 既にノッている事業を止めずにさらに加速させるような仕事になるはずです

でもそれだと、どちらかというと今までやってきた仕事の延長に近いことのように感じて、それでは自分のキャリアに大きな変化を起こすことはできないと思いました


今までの仕事とは全く違う仕事がやりたいと転職を決断したわけですから、できれば新しく事業を作るようなことがやりたかったです
そして、成功しそうな勝ち馬にタダ乗りしても全然面白くないので、自分も手をかけてそれを作り上げてみたかったのです
生意気にも・・・!!!

無名ベンチャー

僕の思惑に合った企業は、組織やビジネスがそんなには固まっていない会社であって、
恐らくそれはベンチャーの中でもまだ突出した成果の無い名の知れないベンチャーであるはずです

そのような環境であれば、そもそも既存事業もそんなには大きくないだろうし、新しい事業を作っていく過程を経験できる可能性が高いと無邪気に思いました

とはいえ、自分の市場価値を考えた通りで、そこで自分を採用してもらえる根拠なんて何もなかったんですけどね・・・笑
それに、どうやってそんなベンチャーを探したらいいかも分からなかったですし

でも、もしそれができたら急激に成長できるかもしれない、という漠然とした期待だけがありました

1つだけ決めていたこと

転職先を決める上で1つだけ、必ずその会社の社長と直接話すこと だけは絶対に守ろうと決めていました

少なくとも社長の持っている思いがその会社が目指す方向を決めているわけで、
自分の思いややりたいこととその会社の社長の思いがマッチしていなければ、その会社はそれを求めていないということです

そこで違和感を感じるようであれば、必ずいつかそこに疑問が生まれてまた転職、なんてことになってしまいます
せっかくジョインするのであれば、腹を決めてある程度の年数はそこで経験を積みたいと思うので、これはとても重要なポイントでした


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4. なぜ Nextremer を選んだのか

そんな時に、ホントにたまたま Nextremer の社長と知り合って、結果的にそこにジョインすることになりました

ですが知り合った当時は Nextremer にジョインする気は全くありませんでした

今でも外からはそう見えるかもしれませんが、当時は今よりも遥かにめちゃくちゃ胡散臭かったんです、マジで 笑

当時の Nextremer はメディアにほとんど出ていなかったのでググってもほぼ情報がなく、Web サイトにも「AIサムライ」「インド映画祭」とかいう謎の情報しか載っていませんでした・・・
※後になって、NDAの都合で出せない情報がたくさんあることがわかりましたが 笑


しかし、その後何度かオフィスに行ったり社長と飲みに行って何度も話した中で、僕がイメージしていた環境にぴったりだということが分かってきて、
ここなら事業を作り上げていくことや、組織を作り上げていく経験がどっぷりできると感じました

そして何より、社長の考えに共感できるし、僕の考えを理解してもらえるし、ものすごく話しやすかった

それが無名だったAIベンチャーの Nextremer を選んだ決め手です

なんで採用してもらえたのか

実際のところ面接もなく、え?いいの?という感じで採用してもらえました・・・笑
まぁ、何度も社長と話してたのが面接といえば面接なんでしょうが

当時 Nextremer は、Java が書けてリーダーができる人を求めていて、
更にはインドとの仕事もあるので、僕がインドに長期間行ってたこともあり、使い物になりそうだと評価されたんだと思います
そして恐らくこのブログも読んでもらえていて、ある程度のリテラシーはあると思ってもらえたのかなと

とにかく、需要と供給がたまたま一致して奇跡的に、望んでいた無名のベンチャーにまんまと入り込むことができました・・・!

事業の領域は何でも良かった

Nextremer が AI の領域を扱っていることは、転職を決めた理由にはほとんど関係ありませんでした
どんな領域であってもイメージしていた環境の会社であればどこでもよかったです

ただ、機械学習は個人的に興味があって勉強してたので面白さと可能性を感じてましたし、盛り上がってきている分野のベンチャーで経験を積むことは、自分にとってプラスになるのは間違いないなと思いました

目先の待遇よりも自分への投資

転職する際にはもちろん年収がいくらかも気になるわけですが、僕の場合は、前職から年収が下がることはなくほぼ変わらない年収で契約しました

正直、多少年収が下がることも覚悟してたんですが、同じ水準を維持してもらえたのはすごく有難かったです
これはすごく私事なんですが、実は去年は結婚式を挙げたばかりで、しかもちょうど奥さんの妊娠がわかった時期(!)だったので、給料が大きく下がっていたら実はものすごく困ったのです・・・!
こうもライフイベントが重なるものなのか、という感じですね

そんな中でも嫁ブロックもなく転職を理解してくれた奥さんにはとても感謝しています
僕はベンチャーに行くことには何のリスクもないと思っているんですが、それを家族に理解してもらえているのはものすごく有り難いです


一方、仮に僕が年収UPだけを狙って転職したとして、ものすごく最高に上手くいって年収100〜150万UPくらいが限界だと思います

単純に同じスキルのまま収入を増やすには、自分を高く買ってくれる企業に行くか稼働を上げるしか手段が無いので、激務になる分年収が上がるという道しか見えませんでした
それで更に忙殺されても自分の消耗を早めてしまうことにしかなりません

そもそも、自分にない経験・スキルを求めて転職しているので、基本的に評価は下がるはずです
そういう覚悟もあった上で、自分のスキルを上げるためにベンチャーでの良い時期・悪い時期の中で事業を作り上げていく経験を得る方を選びました

自分がそうなれるのかはわかりませんが、事業をリードできるような人材になることを目指して少しでも近づくために経験を積むことが、自分への投資を考えると目先のお金より遥かに大きな価値があるはずです

もちろんお金をもらえることに越したことはないですが、回収するのはまだ先でいいと思ってます


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5. まとめ

さて、今回はこのような身の上話と共に、生存戦略として無名AIベンチャーへの転職を選んだ理由を延々と書きました

ここでは SIer が悪いとかベンチャーが良いとかを言いたいわけではありません
そもそもそれぞれ1社づつしか実情を知りませんし


前職の SIer では様々な仕事を経験させて頂き、本当に沢山のことを学ばせてもらいました
一緒に仕事をさせてもらった方々、指導してくださった先輩方への感謝と尊敬はこの先もずっと忘れません

本当に周りの人たちに恵まれていると感じています

この1年間を振り返って

Nextremer に入社して半年くらいは、とにかく周りのメンバーに自分の存在価値を認めてもらえるように必死にがむしゃらに仕事をしてきました

その結果、徐々になんとなく認めてもらえている雰囲気を感じるようになってきて、
周りに存在感をアピールすることだけを考えていた段階から、自分が道を切り開いていく段階に意識がスイッチされました

今では、本来自分がやりたかった、ソフトウェアで解決すべき問題にフォーカスするのを追求しつつ、ビジネスの創出に関わる仕事をしています
自分たちが生み出すソフトウェアで世の中をどう豊かにするか、会社の利益にどう結びつけていくかを全力で考えるのがとても楽しくて、全てがプラスの経験になっています


もし1年前のあの時に転職せずに前職に残って 1年後の今 Nextremer に入ろうとしていたら、多分面接で落とされていたと思います・・・
あの時僕がジョインしなくても代わりの人が見つかっているはずで、そしたら同じ理由で採用されることはなかったわけですし

それからこの1年間 Nextremer の成長と一緒に僕も急激に成長していけているのはとても有難く、あの時自分の思いを貫いて転職して良かったと思っています

ベンチャーのスピード感

最近になって映画の「ソーシャルネットワーク」を初めて見たんですが、
その中で、拠点をカリフォルニアに移した時にザッカーバーグエドゥアルドに対して
「お前もこっちに来ないと、置いてきぼりになるぞ」と言うシーンがありました

その気持ちが今すごくよくわかります
近くで変化を感じて能動的に突き抜けていく努力をしないと、簡単にあっという間に取り残されてしまいます

それくらい、ベンチャーでの状況の変化はめちゃくちゃ速いです
僕が入社できたのもタイミングが良かったからですし、ためらわずに決断するのはものすごく大事だと日々実感してます


今回はそんな感じで、身の上話を書いたコラムをお届けしました

そろそろ技術的な記事も書かないと・・・


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