もろず blog

もろちゃんがITに関しての様々なトピックを解説します

インドのIT事情について

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ナマステ!

ここ最近全く記事を書けていなかったのですが久しぶりに記事を書きます


今回はタイトルのある通りインドのIT事情について書きます

  • なぜ唐突にインドなんだ
  • 何を血迷っているんだ
  • ついにイってしまったのか
  • かわいそうに

という想いが皆さんの中にいろいろとあるかと思いますが、8月〜11月末までの約4ヶ月間インドでの海外研修に行っていました

4ヶ月の生活の中で現地の人たちやエンジニアと交流を通して山ほどのリアルインドを感じてきました
今回はそんなインドのIT事情について書きたいと思います


まあ実際のところ、一言で「これがインドだ!」と言えるほどリアルインドは単純ではなかったです
インド人でさえも「インドはカオスだ」というくらいなので、僕らが頭で考えたところで何がなんだか分かりません

彼らは僕らとは全く違う世界の中に生きています


多少ITとは関係ないことも書いちゃいますが、インドについての何かを理解するには彼らの価値観や文化を併せて知った方が理解しやすいかも?と思って併せて書いてます

ぜひ、インドはどんな感じの雰囲気なのかを想像しながら読んでみてください

※これから書くのはあくまでも僕のインドでの経験に基づいた僕個人の意見でいくつかの想像や仮説も含むので、やっぱり実際にインドに行って体感するのが一番いいです


この記事では
1. インドという国
2. インド人と日本人の価値観の違い
3. 日常生活の中でのIT
4. エンジニア事情
5. まとめ
について説明します


※この記事を書き終えたらまさかの1万文字くらいになってしまったので、どうぞ気長に読んでください。。

1. インドという国

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さて、まず初めに皆さんはインドという国についてどれだけ知っているでしょうか?

僕がインドに渡る前に抱いていたイメージはこんな感じです

  • カレー大国
  • お腹壊しそう
  • 母なるガンジス川
  • ITが激アツ
  • 数学がものすごいらしい
  • 人口多い

だいたい皆さんも似たようなイメージを持っているのではないでしょうか

というか、普段日本で生活している中で、中国、韓国や東南アジアの国と比べるとインドって意外と接点がなくてよく知らなくないですか?
僕の場合は今までの仕事では全く関係がなかったですし、インドとの接点なんてせいぜい新宿のターリー屋でナンを食べることくらいでした


さて、そんな僕が持っていたイメージに対して実際にインドで感じたことはこんな感じです

カレー大国

インドに滞在中は冗談なくほぼ毎日カレーを食べていました
ちなみに、毎日のお昼はこんな感じで、汁っぽいカレー、カレー味の野菜のおかず、ライス、チャパティーという組み合わせが定番です


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※お皿の右側に乗ってるのが、ナンじゃなくてチャパティーです

これはターリーというインドの定食みたいな感じの食事で、外の飲食店でターリーを注文してもだいたいこんな感じものが出てきます
しかもターリーは安くて1度にいろいろな種類のものが食べれるので、コスパがめっちゃ良くて美味しいんです
※ターリー屋のターリーとはこのことだったんですね!


また、宗教上の理由からかなり多くの人がベジタリアンです
ノンベジ(肉や魚などのこと)の料理も売ってますし食べれますが、ヒンドゥー教の理由から牛肉はどこにも売っていません
さらに、インドでヒンドゥー教の次に多いイスラム教では豚肉を食べないので、豚肉もほとんどのお店で扱っていません

ということで、インドのお肉というとチキンかラム・マトンになります
羊のお肉なんてジンギスカンくらいでしか食べたことがなかったんですが、マトンカレーはめっちゃ美味しいです
スパイスがあるおかげで臭みも全然感じません

あと、お酒を飲む人もかなり少なくて、僕らみたいにベロベロになるまでは飲まないです
これも宗教の理由からのようですが、若い世代の人たちは徐々に変わってきているみたいですね

お酒を飲まない分、スイーツを食べたり、サモサやバダパブというおやつを食べたりしてる感じでした

インドの食の習慣は他の国と比べてもホントに独特です


すみません、いきなり全然IT関係ないですね

お腹壊しそう

僕はどちらかというとお腹を壊しやすいタイプなのでインドに行く前にはこれが1番不安な点でした

実際のところ、インドに渡って最初の1週間は2〜3日くらいお腹の調子が悪かったんですが、それからは完全にインドに適応してお腹を壊すことなく過ごすことができました

それどころか、ガリガリになって帰ってくる予定だったのに、結果はまさかの4kg増というインドに適応しすぎてありえない結果が残りました

僕はプネという町に滞在していたんですが、ここ10年くらいの間にITで発展してきた比較的新しい町で、インド旅行で行くようなデリーやコルカタの方と比べると全然雰囲気が違う町です
なので、飲食店の事情も全然違ったのかもしれません


とはいえ、一緒に研修を受けていた日本人の研修生でも、2ヶ月半の研修の間ずっとお腹を壊していたという人もいたので、そうなってしまうとなかなかに地獄だと思います

ちなみに、ある日現地スタッフのバリバリのインド人がお腹を壊してゲッソリしていて、理由を聞いてみたら「たぶん昨日の夜に外食したせいだ」と言っていて、インドのネイティブでさえも危険なのかというインドの底力を垣間見たような気がしました・・・

これも全くIT関係ないですね


母なるガンジス川

僕が滞在していたプネはガンジス川とは全くエリアが違うので、今回そこについて詳しく知ることはできませんでした

プネでは9月にガネーシャフェスティバルというお祭りがあり、町のいたるところにガネーシャの像が置かれます
※プネは象の神様ガネーシャで有名な町なんです
そしてお祭りのフィナーレにはそのガネーシャを川に流すというイベントがあります

ガンジス川に限らず、川というものに対して宗教的な特別な想いを持っているのかもということを感じました


ちなみに、ガネーシャフェスティバルではホントに町のそこらじゅうにある像をホントに川に流すらしいので、それによる環境汚染がかなりの問題になっているそうです・・・

これも・・・

ITが激アツ

ITが激アツという話もよく聞きますが、たしかにインドではIT産業の仕事がとても多くて、多くの若者がITエンジニアを目指しています
そのため、大学ではコンピューターサイエンスやソフトウェアエンジニアリング系の学科の人気がめちゃくちゃ高いそうです


ITの仕事が多い理由は、オフショア開発のために多くのUSやUKの企業がインドに開発拠点を持っているからです

聞いたことがある名前のグローバルなITベンダーはだいたいインドにもオフィスがあり、そこに世界中からの開発案件が集まってくるわけです
なのでITの仕事の量はとんでもなく多いということが想像できます


ITの仕事がここまで発展したのも、インド人は英語を話せるというのがやっぱりかなり大きいと思います

英語が話せるし安い単価で仕事をしてくれるし、USとの時差もちょうど12時間くらいで 24時間体制での開発が可能になり全体にかかる日数を大幅に短縮することができ、インドは欧米諸国から見るとかなりいい条件の国なのです


その他のITエンジニア事情については後の方でくわしく書きます

ようやくITの話が出てきました

数学がものすごいらしい

数学がすごいということを聞きますが、僕らが小学校で9×9までの掛け算を暗記するかわりに、インドでは20×20まで暗記するそうです

そしてインド人が0を発見したという事実をものすごいドヤ顔で説明してくれます
三角関数の公式?を発見したのもインド人らしいです


僕は大学の時に数学をすこしだけ勉強していたので、数学というと計算よりも抽象的で論理的な思考というイメージを持っているんですが、インド人の多くはそういった思考とはかけ離れています

僕が関わった大抵のインド人はどの人も直感的で、どちらかというと考える前にまずやっちゃうという感じでした

もちろん、ものすごく優秀な人もいますし、そうでない人もいます
その辺はどの国も同じですよね、きっと

言葉だとうまくニュアンスが伝えられないんですが、これは恐らく皆さんのイメージと全然違うはずです

人口多い

インドの人口は皆さんもご存知の通り、約12億人と中国に次いで巨大です
調べてみたところ、そのうち30歳以下の人口がなんと全体の60%も占めます
つまり30歳以下の人口だけで約7.2億人もいるわけですね

一方日本は、人口が約1.2億人います
そして、30歳以下の人口は全体の約27%らしいので、30歳以下の人口はわずか3000万人くらいなんです


ということは、インドでは若い年代の人たちが日本の20倍以上もいるわけです
このことからインドがどれだけの労働力を持っているかというのがよく分かります

そしてその若い世代の多くの人がITエンジニアとして働いていたり学生もそれを目指しているわけですから、IT産業がインドでどれだけの大きさになっているかは明らかです


これらが僕がインドで感じたことのざっくり版です
これだけでもかなりのボリュームになってしまいました・・・



※2015/12/19 追記
ちなみにカーストの件、皆さん興味がありそうなのでちょっと補足します

社会の授業とかで聞いたことがあるカーストですが、実際のところタブーな話題ではなく、インド人は自分たちの文化として受け入れているようでした

オフィシャルにはカーストは廃止されてますが年齢が上の人を中心に差別的な考えはまだまだ根が深く、カーストを越えて結婚するのは親が許さないので本当に大変らしいです


インド人同士では、顔や名前だけでどのカーストか分かるらしいです
それは結局、同じカーストの人と結婚して子孫を残してきたため、身体的な特徴に偏りがでてきているということだと思います
たしかに高いカーストの人は共通して比較的肌が白く、白人のような顔立ちをしています


カーストと職業の関係については、警察や政府の仕事には暗黙的にカーストの差別があるらしいですが、それ以外の仕事であれば特定のカーストでなければダメということはないようです

ただ、医者、弁護士とかの職業に就くにはハイレベルな教育を受けている人の方がアドバンテージがあるのは当然です
結局のところ良いカーストの人のたちにはお金持ちが多いのが事実で、いい教育を受けている人が多いわけです
結果として就いた職業にも偏りが出てきているんだと思います

※教育機会を均等化するためにリザーベーションシステムという、低いカーストの人に対しての推薦枠というのがあるらしいですが、それはそれで差別の対象になってしまうようで、社会的な問題として未だに解決できてないようでした


そう考えるとITエンジニアは仕事が多く誰にでもチャンスの間口が広いように見えるわけです
(ただ、ITの仕事と言ってもピンキリですし、成功できるかは結局はその人の能力によるわけですが…)


教育とお金が関係しているというのは実際のところ日本にも存在する事実だと思いますし、かなり難しい問題ですね



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2. インド人と日本人の価値観の違い

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さて、次にインド人がどんな国民性を持っているかについて少しだけ書いてみます


先ほど少しだけ書きましたが、インド人は何でも直感的に考えて動くので考える前にとりあえずまず行動に移します
逆に僕ら日本人はどちらかというと、何でも行動する前にまずじっくり考えるのが多いんじゃないでしょうか


インドでは人口が多いため競争社会というものありますが、彼らは不安を感じることが少なくて、何かをするときには常に成功すると信じている感じがします

逆に僕ら日本人は、不安をものすごく感じる国民性なのかもしれないと思いました
何か新しいことをするときには失敗することの方が気にする人が多い気がします


そういった違いがあるからか、問題解決へのアプローチが全然違うんです
合理的な考えとか、万人が納得する理由とか、そういうものに頼っているわけではないんですね
とにかくまず行動、やって失敗しても気にしない、というのが彼らに共通して見られるスタイルです


その他には、インド人は家族や友達ともリレーションをものすごく大切にします
めちゃくちゃフレンドリーで優しいのでちょっと話したらもう完全に友達になってます

全く知らない国に来て心細かった僕にとって、彼らのフレンドリーな雰囲気にはとっても好感が持てました


マーク・ザッカーバーグスティーブ・ジョブズの勧めでインドを旅していた時期があるそうです
その時に彼はインド人の繋がりの強さを現地で感じて、当時考えていた facebook は間違いなく人に必要とされるものだという確信を得たそうです
なんとなくですがその感じはよくわかりますし、実際にインドでのfacebookのユーザー数はハンパないです


その他には、仕事や出世みたいなものの考え方も僕らとは違っています
多くのインド人は、収入よりも肩書きの方をより求めるそうです

どういうことかというと、昇進して Managing Director とか偉そうな肩書きになっても給料は前と同じ、という謎の昇進がインドの企業ではよくあるそうです
彼らは収入が上がることよりも社会的な肩書きが上がることの方が重要と思うそうです

今のGoogleのCEO はインド人ですし、その他にもUS企業のCEOにインド人が就任するケースが増えてきているそうですが、その裏にはたぶんこの価値感も関係しているはずです


また、これはITだけかもしれませんが、インド人は転職までのスパンがめっちゃ短くてだいたい2年くらいで次の会社に行ってしまうようでした

日本と違って定期昇給があるわけではないので、結局は収入UPのために転職するという事情のようです
逆に企業側もスタッフの教育に対してはあまりコストを掛けないので、実務を通して自分で勉強してスキルアップして次の会社に行く、という考え方のようでした

採用する方はスキルがある人を取りたいし、仕事を探している側はスキルアップしたいけど仕事を得るハードルが高くて経験が積めない、というジレンマがあるようです

なので、そのために学生のインターンが盛んに行われている感じでした
結局のところどちらも必死なので、何となくですが、日本のインターンとは少しお互いの目的が違いそうな印象を受けましたが

これは僕らはヌルい環境にいるのかも・・・と感じる場面でしたね


その他には、彼らの時間感覚はいい感じにルーズです
仕事でも10〜15分くらいの遅刻はまあ特に問題にはならないそうで、プライベートの約束なら30分〜1時間くらいの遅刻は普通によくある事らしいです
僕も時間には厳しくない方なのでこれはかなり嬉しかったです

ちなみに、理由はよくわからないんですが、ビジネスシーンでも1ヶ月以上先にアポを取るのをインド人は嫌がるらしいです
先の予定が固定されてしまうのが嫌みたいな話も聞いたので、そのあたりも僕らとは違った感覚を持ってるみたいです


そんな感じで、合理的ではなく全てが直感に基づいて動いていて、一見あり得ないと思える状況でも人と人が強く繋がっていて、絶妙なバランスで社会が回っているという、僕らからするとものすごく不思議な感覚でインドは成り立っています

最初はいろんなところにイライラしましたが、それもオープンな心で受け入れて向き合うと不思議と心地いい感じにもなってくるんですよね
理詰めで考えたら絶対にああはなりません


この感覚はたぶん言葉だけではうまく伝わっていないはずで、実際に現地に行って感じないとわからない感覚だと思います


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3. 日常生活の中のIT

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さて、ようやく本題のITの話を書きます

インドでのITでまず感じたのが、周りのほとんどの人はスマホを持っていてしょっちゅう電話をしているという光景です
これはインド人の国民性であったように、常に誰かと連絡をとっていたいからです

都市部に住んでいる人はほとんどがスマホを持っている感じがして、それはちょっと意外だったかもしれません

それでも、インド全体の携帯の普及率は20〜30%程度らしいです
電気が通っていない田舎のエリアもたくさんあるようで、やはり都市部を離れると状況は違うんだと思います
インド全土に普及するのはまだまだ長い道のりっぽい感じがしますね

ただ、20〜30%といってもインドの人口から考えると4億人くらい携帯を持っていることになるので、それはめちゃくちゃ大きな市場です


スマホの機種は大抵の人が android を使っています
電気やさんで聞いてみたら、だいたい2〜3万円くらいの価格帯の機種が売れ筋のようで、それから比べるとiPhoneはとても高いので使っている人はものすごく少ないです

人気のメーカーは Micromax というところのスマホが安くて性能がよく人気らしいです
その他にはLenovoNokia、HTC とかのスマホもよく見ました


そして何より一番気になったのがネットワーク環境です
インターネットの回線が信じられないくらい遅いです

空いている時間帯なら 1Mbps くらいのスピードはでますが、
夕方などの混む時間帯だと 10kbps という、いつかのISDN回線の時代のような遅さにナチュラルになります
Eclipseをダウンロードするだけで3〜4時間かかりました


モバイルの回線は4Gがではじめたところみたいでしたが、料金が安い2Gとか3Gがまだまだ主流のようです
キャリアは、reliance、vodafone、airtel、TATA Docomo とかのキャリアが主要っぽい感じでした

また、国土が広くて電波塔を立てるのが大変なので電波のカバー率もまだまだ十分ではないみたいです


彼らがどんなアプリを使っているか見ていると、SNSFacebookが圧倒的に多くて周りのインド人はほとんどの人が使っていました
また、メッセンジャーアプリの What's App も同様にほとんどの人が使っているくらいめちゃめちゃ普及しています

結構前のニュースですが facebook はインドのユーザーが1億人を突破したというのを見たことがあります
インド人がサービスに占める割合が高いため、インドのユーザーの満足度向上は facebook にとってものすごく重要な課題だということがよく分かります

そのために facebook lite という簡易版のアプリをリリースしたり、電波状況が悪くてもUXを損なわないための仕組みに力を入れているみたいですね


ちょっと話がズレますが、インドの遅い回線のおかげで Google の画像検索もかなりすごいということを感じました

最高に回線が遅い時には、まずその画像に一番近い単色の色だけが表示されて、そこから段階的に解像度を上げた画像に徐々に切り替わって表示されます
なので、最初は画像こそ表示されませんが、画面自体のレスポンス待ちという状態にはならないんですね

さすが Google ハンパねえと感動しました
こういう部分は日本の快適なインターネット環境の中だとなかなか感じることができないですよね


その他には、特に飲食関連のサービスが浸透してると感じました
Zomato と Foodpanda というサービスが飲食関連ではよく出てきます

Zomato は日本でいう食べログに近いサービスで、Foodpanda は出前館に近いサービスです

どちらもこれまでに2億ドルというハンパない額の資金調達をしているみたいで、インドの周辺国にもサービスを広げているようでした
特に Foodpanda はサービス開始からまだ3年ほどですが、50カ国くらいのかなり多くの国に展開してるみたいです

インド人は食に対してのこだわりが強くて どんなにお金がなかったとしても外食はする、という話を聞いたことがあるので、
そんなインドの食文化とマッチしたことでサービスが拡大しているのかもしれません


Zomato と Foodpanda にはほとんどの飲食店が加入していて、それらのサービスを通してwebから注文することができます

そして大抵の飲食店は配達料は無料ですし、デリバリーだから高いということもありません
なぜなら人件費がものすごく安くて、1人を月1万円程度の給料で雇えるそうです
彼らは英語が分からないので仕事を見つけるのが難しく、安い賃金でも仕事があるだけラッキーということなんです


これと似たような感じで、ところどころに人力で解決してる場面が多く見られます

例えば、大型スーパーのレジによく買い物に行っていましたが、いつもレジにものすごく長い列ができているんです
レジのレーンは10個以上あるし、1つのレジには多くても4〜5人くらいしか並んでません

レジの手際が悪いのか?と思って観察していたら、何となくその原因がわかりました


レジの画面をよく見てみたら、1つの商品をスキャンすると画面になぜか価格が3つくらい出てくるんです
そしてその中のからレジ担当の人が価格を1つ選ぶという、わけがわからんオペレーションになってました

その表示の都度少し手を止めて考えてるんですが、たぶん彼らは雰囲気でその中から一番高いやつを選んでるだけです

でもその日のセール品みたいなものもあるのですが、定価とセール価格が両方表示されてるみたいでした
なので、間違った値段を選んでしまいそれを客が指摘して、よくレジで軽くもめてる場面を見かけます

そうしてどんどんと小さい時間が積み重なって行列ができていくわけです

こういうところ、ホントにインドっぽいんですよ


そんな状況を見ていると、彼らがITに求めてるのは効率化じゃないのかも?と思うようになりました
効率化することは誰かの仕事を減らしてしまうことであり、つながりで成り立っている彼らの世界の中ではクビという選択肢はかなり重い決断なわけです

そんな感じで、日常生活のIT事情だけでもかなり日本と異なっていることがわかるかと思います
なので、僕らが "明らかにこうした方がいい!" と思ったとしても、きっと彼らにとって常識は違うから違うことを考えているはずです


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4. エンジニア事情

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さて、最後にインドのエンジニア事情です

インドではITの仕事がかなり多いということを書きましたが、街中の看板や新聞の広告などいたるところにエンジニアの求人が載ってます

広告を見ていると JavaPHP エンジニアの求人がかなり多かった感じがします
PHPMySQLWordpress の短期集中ブートキャンプみたいなものの広告もよく見ました
その他には Hadoop というワードもよく見ました

今のインドではビッグデータのビジネスがアツイらしいです
恐らく、外資企業でそういう案件が多く取れていてその開発をインドに持ってきているからではないかと想像してます

そんな感じから、手を動かす系の仕事がものすごく多くあるという印象でした

2000年くらいの日本は、もしかしたら似たような状況だったのかもなーと思いました


インドでオライリーの本があるか探してみましたが、本屋さんでは売っていなくてWebで注文しないと買えない感じでした
オライリーの他には、資格試験の申し込みでよく登場する PEARSON でも技術書を出していて、これもよく見かけました

本で衝撃を受けたのは、オライリーの廉価版が売っていて紙の質が落ちる代わりに半額くらいの値段で売ってるんです
IT以外のビジネス書でも同様に、同じような廉価版の本が安い値段で売っています
※たぶんヤミとかじゃなくて正規品です


入門レベルの勉強であれば、本ではなく以下のようなチュートリアル系のサイトをよく使っているようです
Tutorials Point
http://www.tutorialspoint.com/
W3Schools
http://www.w3schools.com/


本をじっくり読むというよりはとにかく動かしまくって覚えるという方がインド人のスタイルに合っているような感じがするので、技術書というよりはこういう方が取り組みやすいんだと思います

ただ、一般企業の若手エンジニアの給料は僕らと比べるとずっと安いので、個人でそういった技術書を買うのはあまり一般的ではなくて、会社で買った本や先輩からのお古てきな感じで技術書を読んでいる感じだったのも関係しているとは思いますが


IT以外の産業も含めたインド人全体の平均月収は2万円くらいだそうなんですが、ITエンジニアの仕事につくとその倍〜数倍以上の額を稼ぐことができます

日本人の収入よりは低い場合が多いとは思いますが、それでもインドでは物価も安いので 月収5万円くらいだったとしても高給なんです
もちろんトップレベルのエンジニアであればUS標準の給料をもらっているのでそういう人たちは僕ら以上に遥かに稼いでいます


つまりインド人から見たIT産業は、最低ラインであっても収入がいいし、将来的にもめちゃくちゃ稼げる夢があるということなんですね
有名な話ですが、IT企業などの新しい企業ではカーストの差別もないので誰でも平等に大きなチャンスに挑戦できるという理由もあると思います


これは何となく想像なんですが、インド人エンジニアたちの様子を見ていると、新しい技術を求めるというよりは仕事がとれる技術を勉強しているという感じでした
新しい技術だから使ってみるとか、あまりそういう雰囲気は感じなかった気がします

なので、僕がブログに書いているようなトピックはあまり興味がないというか、それって仕事になるの?みたいに思うかもしれません
でもビジネスとしての感覚は彼らの方が正しい感覚ですよね


最後にインドITの開発現場に軽くふれておきます
"うちはアジャイルで開発してるのがウリ!" というのをセールスポイントにしている開発会社がたくさんあります

最初のうちはインド人はアジャイルが得意なのか??とか思ってたんですが、彼らの性格を知るにつれ、そもそもウォーターフォールの開発は厳しいな・・・という考えに至りました

まだ何も動くものがないのにそこまで想定して進めるというのは、彼らはあんまり得意じゃなさそうなんです
それより作っちゃった方が速いじゃん!って感じなんだと思います


なのでもしインドの開発会社と一緒に仕事をする場合には、日本側がその辺の感覚をかなり注意してハンドリングしていかないとヤバそうです

逆にUS企業では、その辺のコントロールが相当上手いマネージャーを惜しみなく投入しているという事なのかもしれません


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5. まとめ

そんな感じで、かなりの文字数を使ってインドに行って感じたことを書きました
もうインドはお腹いっぱいで吐きそうだよ、という感じですね


日本に戻ってきて実感したのは、日本は色づかいが地味だけど、空気がきれいで口の中がジャリジャリしないな、ということです


ともかくインドは、

  • ハングリーさ
  • グローバルに慣れている
  • 英語がしゃべれる
  • 若い人口の巨大さ

という、いかにもこれから更に伸びていきそうな要素が揃っています

とにかく勢いがものすごいです
近い将来日本は食われるかも、という危機感を覚えました


日本の人口は確実に減少していて、今後日本人の労働力がなくなっていくことは明らかです
この先10年、20年くらいで間違いなく国外の労働力に頼らなければ成り立たなくなる状況が来ます

そんな状況の時に、彼らと協業していくことは決して悪いことではないのではないでしょうか


僕からすると日本人とインド人は、他の国と比べると相性がいいんじゃないかと思います
ちょうどお互いに持っていないところを補完し合えるような、そんな関係を築ける気がします

だから僕らもすぐ先の未来に備えて、目線を上げることが必要だと感じました


一方で、今回のインド滞在を通して、日本人エンジニアもやっぱりかなり優秀だし、もっと自信を持って挑戦していけばどの国に行ったってそう簡単には負けないという想いもかなり強くなりました


研修の会場を貸してくれていたIT企業のエンジニアが、僕の滞在中に他の企業へ転職していくというできごとがあったんですが、
彼は "No changes, there is no chance" と言っていました

いつもはふざけて明るい感じなのに、この時は真剣な目をして言っていて、これにはホントに刺激をうけました


そんなインド人の姿勢を見習いつつ、僕らも次のステップに進みたいですね!


今回はそんなインドレポートをお届けしました!


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